プロの視点

十川 能行

保険仲立人(損保代93号・第13号)・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーCFP・1級FP技能士 日本保険仲立人協会理事株式会社アークインス 代表取締役・代表保険仲立人(近畿財務局長登録第2号)

「お客様の立場で常に最適な保険手配を行うためにベストを尽くす保険のプロとして、唯一、法的に認められた存在」

専門分野
企業保険
職種
首都圏中部圏関西圏
営業地域
保険仲立人(公認リスクコンサルティング)
強み・特徴
生損保ベストプラン

不動産投資オーナーのためのリスク対策 その1

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収益不動産所有のリスクは様々あります。中途半端に判ったつもりでリスク処理をしても、後で大変なことになるケースがあります。「生兵法は怪我のもと」という例えどおり、リスク処理の専門家に相談することが大切です。しかし、自分の資産をどのような考え方でどのように守るかという基本的な考え方は学んでおく必要があります。

保険仲立人はリスクマネジメントのコンサルタントかつ「お客様の立場で、常に最適な保険手配を行うためにベストをつくす保険のプロとして、唯一、法的に認められた専門家」です。

まず、自分の収益不動産所有のリスクを考える上で、重要なことは、どんなリスクがどのくらいあるか、それらのリスクをどうすれば効率的に処理できるかということです。折角手に入れた不動産を保全し、その資産を元にして資産の増大を図るためにリスクマネジメントの考え方を身に付けることはとても大切なことです。

その効率的なリスク処理手順としては、

  1. 資産所有することによって生じるいろいろなリスクを把握する。
  2. それらのリスクをできるだけ数値化する。
    (頻度・強度:どのくらい確率でどのくらいの損害額がでるか)
  3. それらのリスクの優先順位を決め、効率的なリスク対策を立てる。(保険も1手段)
  4. リスク対策を実行する。
  5. それらを検証チュックし、修正補正を行う。

1から5までのステップを充分に繰り返し繰り返し実行していくことが重要です。 特に1のリスクの洗い出しをきちんと行わないと後で予想もしない事態に巻き込まれかねません。いきなりどんな保険をつければよいのだろうかと考える人が多いのですが、「まずリスクありきで、先に保険ありき」ではありません。結果は同じ場合もありますが、まず自分の所有不動産リスクにはどんなものがどの程度あるか、しっかり見極めることが重要です。

収益不動産所有のリスクは大きく次のように分けられます。

  1. 財産喪失のリスク 火災破裂爆発落雷、天災(地震・津波・風水災)、水漏れ、盗難、電気的機械的危険、その他危険
  2. 賠償損害のリスク 施設所有管理(昇降機含む)による賠償
  3. 利益喪失リスク 事故による家賃収入等の減少
  4. 所有者・管理者自身のリスク(人的リスク)
  5. 情報漏えいリスク
  6. 土壌汚染リスク 過去の土地活用履歴が重要 最近問題が多発している

その他、大きなリスクとして、1.家賃未収リスク(空室リスク含む)2.資産価値下落リスクがあります。

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財産リスクには、火災・破裂爆発・落雷、風水災・地震・津波、給排水、盗難、電気的/機械的事故その他破損事故など広範囲にわたります。財産リスクの大きなポイントは、最大損害予想額と自己資産価額とを比較検討することです。例えば、所有する物件が1つの場合で、財産額の25%以上の損失が想定される場合は、保険プログラムを活用することが基本的には適切です。1億円の資産価額に対して2500万円以上の損失が発生すれば立ち直りに相当の時間がかかることになります。

仮に10棟の物件を所有していれば、2500万円の事故が発生しても、10億円の資産価額に対してわずか2.5%の損失と軽微な影響で済みます。仮に100 棟所有していれば資産100億円に対して0.25%、1000棟所有していれば資産1000億円に対して0.025%となります。保険は必要ないかもしれません。自家保有やキャプティブとか呼ばれる、保険とは別の手段でリスク対策を立てた方が賢明と言えるでしょう。

上記の例は最もシンプルなケースですが、所有資産のバランスシートを考えた場合少し対策も違ってきます。所有資産に対して借入金がある場合、純資産がいくらかチェックする必要があります。保有資産に対して純資産の額が小さい場合、リスク対策で保険は最優良の手段となります。純資産が非常に大きい場合は保険だけでなくそれ以外の手段の活用も有効となります。

このように所有者の資産内容によって、財産リスク対策は大きく違ってきます。

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財産喪失リスクのうち、地震リスクについて少し触れておきます。今後、首都圏直下型地震・東海地震・東南海地震などが予想されていますが、地震の被害は広域で甚大な損害をもたらすため自社のリスク対策もしっかり行う必要があります。住居を伴う建物や家財の地震保険は国が関与ししているため比較的割安でしかも簡単に加入できますが、一般の商業用ビルや事務所用ビル、あるいは商品・営業什器・機械類などの地震保険を手配することは大変です。特に首都圏や東海・近畿では手配することが困難だといっていいと思います。これらの地震保険は被害が甚大になる恐れがあるため、仮に日本の保険会社が引き受けても、かなりの割合で海外の再保険市場に持ち込みます。海外の再保険市場では、日本が地震大国で非常にリスクが高い地域であると認識していますから、相当高額の保険料を要求するか、あるいは引き受け条件を制限します。特に首都圏の引受けキャパシティ(再保険市場がリスクを引き受ける限度額)は満杯状態ですから、新規引受けはきわめて困難な状態です。

しかも、仮に引き受ける場合でも高額な保険料水準となる可能性がありますから、最大予想損害額の算出が重要となり、リスク対策費用(耐震対策等)と保険料との経済的効果の比較検討を図ります。

何よりも、経験豊富で法的に責任ある立場の専門家に相談する、あるいは顧問にすることが最適なリスク対策の近道であることはまちがいありません。保険仲立人はリスクマネジメントのコンサルタントかつ「お客様の立場で、常に最適な保険手配を行うためにベストをつくす保険のプロとして、唯一、法的に認められた専門家」です。

なお、不動産投資マスターズのオーナー会員のために独自の保険プログラム(生命保険・損害保険を活用)をご用意しております。

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ご参考 火災事故事例
新宿雑居ビル火災 2001年9月 44名死亡
ドンキホーテ連続放火 2004年12月  
宝塚カラオケ火災 2007年1月 9名死傷

東京都の火災の発生状況を見てみると、18年度5,914件でそのうち建物火災が3,727件で死者116人、火災の原因で放火が約2000件、たばこが約1000件となっています。東京都内だけで毎日17件の火災が発生しています。

次回は賠償責任リスク対策についてお話します。